【物語・第2話】一人もんじゃの勇気が教えてくれた、本当の美しさの始まり

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いつもなら家でゴロゴロしている土曜日。今日は何かが違う

土曜日の小さな決意

土曜日の午後3時。

いつもなら家でNetflixを見ながらお菓子を食べている時間だけど、今日は津田沼の街を歩いていた。昨夜決めた通り、「粉と水」に向かっている。

「本当に一人でもんじゃなんて…」

足が重い。何度も引き返そうと思った。でも田中先輩のキラキラした笑顔を思い出すたびに、「このままじゃダメだ」という気持ちが勝った。

「粉と水」の扉の前で

お店の前に立つと、昨夜感じた香ばしい匂いが再び鼻をくすぐった。

扉越しに聞こえる笑い声。きっと楽しそうなカップルや友達同士が入っているんだろう。そんな中に一人で入るなんて…

「やっぱりやめよう」

踵を返そうとした時、扉が開いた。

「いらっしゃいませ!」

明るい声とともに現れたのは、50歳くらいの女性店員さんだった。エプロン姿だけど、なぜかとても上品で、肌がつやつやしている。

優しい魔法使い

「一人なんですが…」

恥ずかしそうに呟く私に、店員さんは全く嫌な顔をしなかった。

「もちろんです!一人もんじゃ、とっても素敵ですよ。こちらのお席はいかがですか?」

案内されたテーブル席は、鉄板が埋め込まれていて、なんだか特別な感じ。店内を見渡すと、確かに一人で食事している女性が他にもいた。

「初めてでしょうか?女性に人気のメニューはこちらですよ」

店員さんの笑顔は、田中先輩とは違う種類の美しさだった。50歳くらいだと思うけれど、自然体で、温かくて、なんだか安心する。年齢を重ねた美しさって、こういうものなのかもしれない。

野菜たっぷりもんじゃとの出会い

「当店のもんじゃはたくさんの野菜が入っているので、女性に人気なんですよ」

店員さんが指差したのは「カマンベールもんじゃ」というメニューだった。

「キャベツ・もやし・にんじん・しいたけ・ニラ・玉ねぎと5種類の野菜が入っているのは、他のもんじゃ屋さんではないと思いますよ」

「5種類も…」

私が普段摂っている野菜なんて、コンビニサラダのレタスとトマトくらい。5種類でも、1日で摂れていないかもしれない。

「人気のカマンベールもんじゃは、タンパク質・ビタミンA・ビタミンB2・カルシウムなど美容栄養が豊富ですよ」

「美容に良い栄養が…そんなに詳しいんですね」

目の前で焼き上がるもんじゃを見ながら、思わず感心してしまった。

優しい魔法使いからのアドバイス

「温かいカマンベールで野菜を摂ると、脂溶性ビタミンAが吸収されやすいんですよ」

店員さんは、もんじゃを作りながら続けた。

「サラダなど冷たい野菜もビタミンCや食物繊維を摂るには良いんですが、温かい野菜はビタミン・ミネラル・食物繊維を効率よく摂取できるんです。胃腸に優しくて、体を温めるから血流も良くなって、くすみやクマの対策にもなるんですよ」

「そうなんですか…」

思わず聞き入ってしまった。今まで美容のことを調べても、こんな具体的で分かりやすい話は聞いたことがなかった。

野菜の力を実感

店員さんに教えてもらいながら、初めての一人もんじゃを食べた。

人参の甘み、キャベツのシャキシャキ感、しいたけの旨味、ニラのほろ苦さ…それぞれの野菜が主張しながらも、カマンベールのクリーミーさで全体として優しい味にまとまっている。

「美味しい…」

素直に美味しいと思った。そして何より、食べた後に感じる満足感が今までと全然違う。

お腹いっぱいなのに、なぜか体が軽い。そして、なんとなく肌がしっとりしているような気がする。

本当の美しさって

「店員さんって、とても綺麗ですよね」

帰り際、思い切って声をかけた。

「ありがとうございます。野菜を温かくして食べるようになってから、体の調子が良くなったんです」

店員さんは少し照れながら答えた。

「50歳になっても、こうして元気に働けているのは、やっぱり食事のおかげかしら」

「自信…」

「そうです。本当の美しさって、外見だけじゃなくて、内側から溢れ出る自信や健康的な輝きなんだと思います」

新しい美活の始まり

「粉と水」を出た時、空の色が夕焼けに変わっていた。

でも私の心は、朝よりもずっと明るかった。

今まで外側ばかりに目を向けていた私。高い化粧品、エステ、サプリメント…どれも大切かもしれないけれど、一番大切なことを見落としていた。

「野菜、か…」

店員さんの言葉を思い出す。

「本当の美しさは、内側から」

明日から、いや今日から変えよう。コンビニ弁当ではなく、野菜をしっかり摂る食生活に。

田中先輩のような外見の美しさも憧れるけれど、店員さんのような内側からの美しさも素敵だ。両方手に入れられたら…

小さな変化への期待

帰り道、スーパーに寄った。

いつもは素通りしていた野菜売り場で、今日はじっくりと野菜を選んだ。キャベツ、人参、しいたけ、ニラ、玉ねぎ…「粉と水」で食べた野菜たちを思い出しながら。

レジで野菜がいっぱい入った袋を見た時、なんだか誇らしい気持ちになった。

これが、本当の美しさへの第一歩なのかもしれない。

明日の朝食は、野菜たっぷりのオムレツにしよう。お弁当も手作りして、野菜をたくさん入れよう。

田中先輩のようになるという目標は変わらないけれど、その方法が変わった。外側からではなく、内側から。

鏡の中の私は、まだ昨日と変わらない。でも、心の中では既に何かが変わり始めていた。


続く

次回は、野菜中心の食生活を始めた美咲に、どんな変化が現れるのでしょうか?田中先輩との関係にも新しい動きが…?最終話もお楽しみに!

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