【物語】頑張ってるのに変わらない私…津田沼で見つけた『内側から美しく』の答え・・・

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プロローグ:毎朝の憂鬱

朝、鏡の前に立つたび、ため息が出る。

「今日も田中先輩は綺麗なんだろうな…」

私の名前は山田美咲、25歳。都内の会社で事務をしている、どこにでもいる普通のOL。特に美人でもなければ、特別なスキルがあるわけでもない。強いて言うなら「頑張ってるけど報われない」ことが特技かもしれない。

憧れの田中先輩

会社には田中麻衣子先輩がいる。私より3歳年上で、営業部のエース。身長は165センチくらいで、いつもピンと背筋が伸びている。肌はつやつやで、髪は艶やかな黒髪をいつも綺麗にまとめている。

何より印象的なのは、彼女の笑顔だった。クライアントとの打ち合わせから帰ってくる時、いつも自信に満ち溢れた表情をしている。

「美咲ちゃん、お疲れさま」

先輩が声をかけてくれるだけで、一日の疲れが吹き飛ぶ。でも同時に、鏡で見る自分との差を思い知らされる瞬間でもある。

女磨きの日々…でも

先輩のようになりたくて、私なりに頑張ってきた。

雑誌で話題のスキンケア用品は一通り試した。デパートの化粧品カウンターで相談して、お給料の半分近くをファンデーションにつぎ込んだこともある。ヘアサロンにも月2回は通っている。

ジムにも入会した。「内側から美しく」という言葉に惹かれて、酵素ドリンクも定期購入している。InstagramやYouTubeで美容系インフルエンサーの動画は欠かさずチェックして、真似できそうなことは全部やってみた。

でも…

鏡の中の現実

3か月経っても、6か月経っても、私は相変わらず私だった。

肌の調子は以前と変わらず、たまに吹き出物ができる。髪の毛はパサついているし、なんだか全体的にくすんで見える。ジムも最初の1か月で行かなくなってしまった。

「美咲、最近お疲れ気味?」

同期の佐藤君にそう言われた時、心の中で泣いた。頑張って頑張って、それでも「疲れ気味」に見えるなんて。

継母と姉たちの声

最近、心の中に意地悪な声が聞こえる。まるでシンデレラの継母と姉たちのように。

『また新しいコスメ買ったの?お金の無駄じゃない』 『そんなに頑張っても、結局あなたはあなたよ』 『田中先輩みたいになるなんて、無理に決まってるじゃない』

その声は私自身の声だった。頑張れば頑張るほど、うまくいかない現実に直面して、自分で自分を責めてしまう。

ある金曜日の夜

その日も残業が長引いた。気がつけば夜の9時を過ぎている。

田中先輩は6時にはさっさと帰って、きっと素敵な金曜日の夜を過ごしているんだろう。一方、私は一人でパソコンに向かって、誰でもできる単調な作業をしている。

「はあ…」

大きなため息をついて、やっと仕事を終えた。津田沼駅に向かう道のりも重い足取りだった。

コンビニ弁当を買って帰る予定だったけれど、なんだか今日はそれも嫌だった。惨めすぎる。

津田沼の夜に漂う匂い

津田沼駅からマンションに向かう道で、ふと香ばしい匂いが漂ってきた。

お好み焼きのような、でも少し違う。野菜の甘い香りも混じっている。

「粉と水」

小さな看板が目に留まった。もんじゃ焼きのお店らしい。

普段なら素通りするところだけど、今日は何だか足が止まった。一人でもんじゃなんて、今までやったことがない。でも…

『どうせ私なんて』という声が聞こえそうになったその時、お店の扉が開いて、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

明日への小さな予感

結局その日は、コンビニでサラダとおにぎりを買って帰った。

でもマンションの部屋で夕食を食べながら、あのお店のことが頭から離れなかった。

「粉と水」

なんだか不思議な響きの名前だった。粉と水。シンプルだけど、なんとなく希望を感じる組み合わせ。

「明日は土曜日だし…」

一人でもんじゃを食べに行くなんて、今までの私なら絶対にしないことだった。でも今の私には、何か変化が必要だった。

このままじゃ、一生田中先輩への憧れを抱えたまま、何も変わらない自分でいることになる。

鏡の中の私を見つめながら、小さく決意した。

明日、勇気を出して「粉と水」に行ってみよう。


第1話 完

次回【第2話】「津田沼で見つけた、美への第一歩」では、美咲が「粉と水」で出会う特別な体験と、美しさの本当の意味について気づく瞬間をお届けします。お楽しみに!

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