付き合い始めて1ヶ月の翔太くん(22歳)と美咲ちゃん(21歳)。今夜は翔太くんが「特別な場所」に案内するらしい
手に汗握る金曜日の夜
「えっと…この辺りなんだけど」
大学4年の翔太は、スマホの地図を何度も確認しながら歩いていた。隣を歩く美咲の手を引きたいけれど、緊張で手のひらが汗ばんでいる。
付き合い始めて1ヶ月。まだまだ初々しい二人にとって、今夜のデートは特別だった。
「翔太くん、大丈夫?なんだかすごく緊張してない?」
美咲の優しい声に、翔太の心臓はさらにドキドキする。
「ここで本当に大丈夫?」
「粉と水」の前に着いた時、美咲は少し驚いた表情を見せた。
「ここ…もんじゃ焼きのお店?」
「うん、評判良いんだ。美咲ちゃんに美味しいもの食べさせてあげたくて」
翔太の一生懸命な表情を見て、美咲は胸がキュンとした。でも同時に、ちょっと心配にもなった。
「でも、ここって…結構高そう?大学生には…」
美咲の気遣いに、翔太は慌てる。
「大丈夫大丈夫!今日は僕がご馳走するから」
そう言いながらも、財布の中身を思い出して内心ドキドキ。バイト代をほとんど使ってしまうけれど、美咲に喜んでもらいたい一心だった。
安いお店もあるのに、なぜここを選んだのか
実は翔太は、津田沼には安いお好み焼き屋が2軒あることを知っていた。友達からも「あっちの方が学生には良いんじゃない?」と言われていた。
でも、美咲との初めての特別なデートに、「安い」という理由でお店を選びたくなかった。
「美咲は特別な人だから、特別な場所に連れて行きたい」
そんな気持ちで「粉と水」を選んだのだ。
店内での小さなパニック
席に案内されて、メニューを見た時の翔太の表情。
「えっと…おすすめは…」
価格を見て、心の中で計算している。でも美咲の前では、余裕があるフリをしなければ。
「何でも好きなもの注文していいよ」
そう言いながらも、美咲が一番高いメニューを選ばないことを祈っていた。
美咲は翔太の緊張を察して、さりげなく中間くらいの価格のメニューを指差した。
「カマンベールもんじゃって美味しそう!」
「あ、それいいね。じゃあ僕は…」
翔太は少し迷った後、勇気を出して言った。
「もちチーズ明太クリームのお好み焼きにしよう。ピンクでハート型なんだって」
「え、ハート型?」
美咲の頬が少し赤くなった。翔太も恥ずかしそうに、でも一生懸命に続けた。
「美咲ちゃんに似合うと思って…」
翔太は心の中でホッとしながら、同時にドキドキもしていた。
もんじゃ作りで見えた本当の姿
もんじゃを作り始めると、翔太の緊張が少しずつほぐれてきた。
「あ、これで合ってる?」
「翔太くん、上手だね」
「え、そう?美咲ちゃんの方が上手だよ」
初めてのもんじゃ作りに四苦八苦する翔太。でもその一生懸命な姿が、美咲にはとても愛おしく見えた。
普段クールに振る舞おうとする翔太の、素の部分が見えたからだ。
「実は僕、料理とか全然ダメなんだ」
もんじゃを食べ終わった頃、運ばれてきたのはピンクでハート型のお好み焼き。
「わあ、本当にハート型!」
美咲の目がキラキラと輝いた。翔太は少し照れながらも、美咲の嬉しそうな顔を見て胸がいっぱいになった。
「写真撮ってもいい?」
「もちろん!」
美咲がスマホを向けると、翔太も一緒にハート型のお好み焼きと記念撮影。
「翔太くんって、こういうサプライズ考えるの上手なんだね」
「そんなことないよ…実は僕、料理とか全然ダメなんだ」
お好み焼きを分け合って食べながら、翔太がポツリと言った。
「美咲ちゃんの前ではカッコよくいたいんだけど、実際は不器用で…」
その正直な言葉に、美咲は思わず笑顔になった。
「翔太くんの一生懸命なところ、すごく素敵だよ」
「本当?」
「うん。カッコつけなくても、翔太くんは十分素敵だから」
会計の時のドキドキ
楽しい時間はあっという間に過ぎて、いよいよ会計の時間。
翔太は財布を取り出しながら、心臓がバクバクしていた。計算では足りるはずだけど…
「お会計、3,520円になります」
「はい」
翔太は何とか支払いを済ませた。残りの現金はもうわずか。でも、美咲の笑顔を見れば、それで十分だった。
帰り道での美咲の一言
津田沼駅に向かう帰り道、美咲が言った。
「翔太くん、今日はご馳走になっちゃって、ありがとう」
「いや、全然!美咲が喜んでくれたなら」
「でも次は、私がご馳走させて。今度は私がお店選ぶから」
その言葉に、翔太は安堵と嬉しさで胸がいっぱいになった。
美咲が感じた翔太の優しさ
美咲は翔太の気持ちを分かっていた。
背伸びして高いお店を選んでくれたこと。自分を喜ばせようと一生懸命だったこと。不器用でも、精一杯おもてなししようとしてくれたこと。
そんな翔太の気持ちが、何より嬉しかった。
26歳の僕から見た、あの頃の自分
この光景を見ていたのは、隣のテーブルの26歳の会社員、田中さんだった。
「懐かしいな…」
田中さんは思わず微笑んだ。自分にも、あんな時代があった。
彼女に良いところを見せたくて、バイト代をはたいてちょっと高いレストランに行ったこと。緊張で手が震えたこと。会計の時に財布の中身を心配したこと。
そして何より、そんな自分を優しく受け入れてくれた彼女の笑顔。
大人になって分かること
今の田中さんには、当時よりもずっと余裕がある。お金の心配をすることも、デートで緊張することもない。
でも、あの頃の「彼女を喜ばせたい」という純粋な気持ちは、今思い出しても胸が熱くなる。
翔太と美咲を見ていると、そんな大切なことを思い出させてくれる。
「粉と水」が選ばれる理由
安いお店もある津田沼で、なぜ20代前半のカップルが「粉と水」を選ぶのか。
それは、大切な人と過ごす時間を、少しでも特別なものにしたいから。
背伸びしてでも、「ちゃんとした場所」で相手をもてなしたいから。
そんな気持ちに応えられる場所でありたい。それが「粉と水」の想いでもある。
愛おしい光景
翔太と美咲は、手をつないで駅に向かった。
「今度は僕がもっと上手にもんじゃ作るから」
「楽しみにしてる」
その後ろ姿を見送りながら、田中さんは心の中でエールを送った。
『頑張れ、若いカップル。その気持ち、大切にしろよ』
大人の僕たちも、たまには
田中さんは彼女にメッセージを送った。
「今度の週末、久しぶりに『粉と水』でも行かない?」
「どうしたの、急に?」
「なんか、初心を思い出したくなってさ」
「いいね、行こう」
若いカップルの初々しさを見て、大人の僕たちも忘れていた気持ちを思い出すことがある。
愛は年齢を超えて
津田沼の「粉と水」では、今夜もいろんなカップルが食事を楽しんでいる。
20代前半の初々しいカップル。長く付き合っている安定したカップル。結婚を控えた幸せなカップル。
みんな、それぞれの形で愛を育んでいる。
そんな全ての愛を、温かく見守れる場所でありたい。
翔太くんと美咲ちゃんのような若いカップルも、田中さんのような大人のカップルも、津田沼「粉と水」では皆さんが主役です。背伸びした特別な夜も、リラックスした普通の夜も、どちらも大切な時間。そんな時間を、私たちがお手伝いさせていただきます。
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